【平成28年7月号】飯能のたからもの

 平成14年に発行された『飯能のたからもの』という本があります。表紙に「気軽に、楽しく、文化財探訪。」とあるように、市内を天覧山周辺、飯能河原周辺など9ヶ所に分けて、その地域の歴史や文化遺産、名所、食べ物屋さんなどを親しみやすい文章で紹介したものです。全78ページのうち8割がカラー印刷で、大きな文字、多くの写真、手書きのイラストや地図などがふんだんに盛り込まれ、それらが洗練されたデザインによって配置され統一感ある紙面に仕上がっています。
 「飯能」の魅力を紹介したこの本を作ったのは柳沢陽子さんです。「このまちが好き-そんな思いでこの本を作りました」(あとがき)とあるように、飯能が好きで好きでたまらない、そうした思いが伝わってくるようなやさしい本です。このことは市立図書館に飯能の良さを調べに来る小学生たちにとっても、一番の資料であることがそれを物語っています。発行から既に15年近くが経過ましたが、その価値は今でも色あせることがありません。
 いつも私たちの活動を励まし、支援してくださった柳沢さん。その柳沢さんが先日亡くなられました。『飯能のたからもの』のような、読む人の立場に立って書かれた、やさしい本は当館の理想です。1日も早くその高みにたどり着けるよう努力したいと思います。心よりご冥福をお祈り申し上げます。 (尾崎)