持続可能な行財政運営に向けた緊急財政対策について

更新日:2025年02月14日

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本市の財政の現状

複雑・多様化する行政需要や地域が抱える課題に対応するため、市では限られた経営資源を最大限に活用しながら諸施策を展開し、一定の成果を挙げてきました。
一方、人口減少・超少子高齢社会の到来により、市税収入等が伸び悩む中、扶助費等の経常的経費が右肩上がりで増大を続け、財政構造の硬直化が進んでいます。
こうした状況下で行われた令和7年度予算編成では、高齢化や少子化対策の拡充等による社会保障関係経費や、老朽化が進む公共施設等の維持管理経費等の経常的経費の増大により、令和6年度当初予算額を40億円上回る予算要求がありました。調整においては、やむを得ず事業の先送りや既存の事務事業の縮減等により収支の均衡を図り、なお不足する財源は、財政調整基金の繰入れなどにより補てんしたところです。
これにより、財政調整基金の令和7年度末残高見込みは約4億円となり、ほぼ枯渇する状態となります。財政調整基金の枯渇は、年度中に災害や税収不足等の不測の事態が発生した場合に対応ができなくなることを意味し、本市の財政は資金面において極めて危機的な事態に直面しています。
そこで市では、こうした危機的な事態からいち早く脱却し、将来にわたり持続可能な行財政運営を確立するため、全庁を挙げて歳入確保と歳出抑制に緊急的・集中的に取り組む緊急財政対策を実施することにしましたので、以下、その概要をお知らせします。

緊急財政対策の概要

目的

市民福祉の増進と山積する行政課題の解決に向けて的確に対応するため、将来にわたり持続可能な行財政運営を確立することを目指し、緊急財政対策を実施します。
 

目標

  1. 令和8年度末までに財政調整基金の残高を本市の標準財政規模の約1割に相当する20億円以上確保します。
  2. 歳入規模に応じた、適正かつ持続可能な予算規模を見極め、歳入に見合った歳出への転換を図ります。

重点対策

  1. 総人件費の抑制(正規及び会計年度任用職員数の適正化)
  2. 市単独事業の見直し(事務事業の廃止、休止、縮小等)
  3. 公共施設等の在り方の見直し(公共施設等の再編・再配置の加速化)
  4. 普通建設事業の選択と集中(土地区画整理事業、飯能第一小学校等の建替え及び複合化、久下六道線整備、元加治駅南口開設、道の駅整備等の優先度)
  5. 自主財源の確保(収納対策の強化、受益者負担の適正化)

対策期間

令和7年度から令和8年度までの2年間

推進体制

  1. 飯能市緊急財政対策本部(本部長:市長)による決定、実施
  2. 職員で組織する緊急財政対策プロジェクトチームによる検討、立案
  3. 学識経験者等で組織する飯能市行政改革審議会による審議、提言
     

参考資料

Q&A

なぜ、財政調整基金が枯渇寸前の事態となってしまったのですか?

毎年の社会保障関係経費や公共施設等の維持管理経費を主とする経常的経費の伸びに市税収入等の伸びが追いつかず、収支不足額を財政調整基金の繰入れで補てんしてきた結果、枯渇が懸念される事態となりました。毎年決算で生じた前年度繰越金を原資として、当初予算に計上していた財政調整基金繰入金を減額し、なお余力があるときは積立てを行い、一定の残高を確保してきましたが、増大する社会保障関係経費や老朽化が進む公共施設等の維持管理経費等の経常的経費に財源を使わざるを得なかったため、令和5年度、令和6年度と2か年続けて積立てができない状態が続き、今回の事態に至ったものです。

社会保障関係経費等が増大しているのは本市だけではないはずです。本市では、何かほかの要因があるのですか?

少子高齢化の進展により社会保障関係経費が増大しているのは、他の自治体も同じです。本市固有の要因として、合併特例債等の元利償還金を主とする公債費の増大が挙げられます。市では名栗村との合併に伴い、平成17年度から平成26年度までの10年間に約116億円の合併特例債(合併推進債を含む)を発行し、新市建設計画に基づき基盤整備等を積極的に進めてきました。その元利償還金は、ピーク時の令和2年度には約10億円を、令和5年度決算でも約7億6千万円支出しています。元利償還金の7割は普通交付税で措置されますが、一般財源の持ち出しがあり、義務的経費として財政の弾力性を低下させるひとつの要因となっています。この合併特例債を含む、普通会計における元利償還金のピークは令和6年度であり、その額は約34億円に上ります。そこに社会保障関係経費等の増大が重なったことが、今回の窮状につながったと考えています。

このような事態になるまで、市では行財政改革などの対策を講じてこなかったのですか?

市では平成8年に策定した行政改革大綱に始まり、これまで7次にわたり、社会情勢や市民ニーズの変化、市の財政状況等を踏まえ、全庁的に行財政改革に積極的に取り組み、ふるさと納税の活用や企業誘致、市税収納率の向上等により歳入確保に努めるとともに、既存の事務事業を見直し、政策推進の財源を確保する財政運営を行ってきました。しかし、こうした行財政改革の成果以上に経常的経費の伸びが著しく、経常一般財源収入のみでこれらの経費を賄うことが困難な状況となり、今回の事態に至りました。今後は従前の行財政改革の延長ではない、より踏み込んだ歳入確保と歳出抑制に取り組む必要があると考えています。

なぜ今、緊急財政対策を講じる必要があるのですか?

現下の逼迫した厳しい財政状況が続くと、令和7年度中に災害や税収不足等の不測の事態が発生した場合に対応ができず、また、年度間の財源調整機能を果たせないことから令和8年度予算を編成できないおそれが想定されたため、令和7年度と令和8年度の2か年で緊急的・集中的に収入確保と歳出抑制に取り組む緊急財政対策を実施し、基金残高の回復を目指すことにしました。対策の取組の中には、事業の廃止により市民サービスに影響が及ぶものや新たに市民の皆様に負担をお願いするものも想定されることから、今回、本市の厳しい財政状況と併せて、公表しました。本市の財政状況を市民の皆様と共有し、本市にとって今、真に必要なものは何かをしっかりと見極めた市政運営を行っていきたいと考えています。

市ではこれまで財政状況は健全と公表してきたが、どうして緊急財政対策を実施することになったのですか?

地方公共団体の財政の健全化に関する法律の規定に基づき公表しているとおり、本市の令和5年度決算における健全化判断比率及び資金不足比率は、いずれの指標も基準を大きく下回っており、これらの指標上では健全であることに間違いありません。今回、市が問題視しているのは、資金(財政調整基金)が少ないという点です。財政調整基金の厳しい状況については、これまで市議会の一般質問や議案質疑等において明らかにしてきましたが、いよいよ枯渇が懸念される事態となったため、ここで緊急財政対策を講じなければ、市民の皆様の生活に大きな支障を来すことになりかねないと考え、厳しい財政状況の公表と併せて、緊急財政対策を実施することを決めました。

緊急財政対策では、何のために、何を目標として、何に取り組むのですか?

緊急財政対策は、本市が今後も引き続き、市民福祉の増進と山積する行政課題の解決に向けて的確に対応していくため、将来にわたり持続可能な行財政運営を確立することを目指し、実施します。
目標として、枯渇が懸念される財政調整基金の残高の回復と、歳入規模に応じた、持続可能な予算規模を見極め、歳入に見合った歳出への転換を図ることを掲げました。
対策では、総人件費の抑制、市単独事業の見直し、公共施設等の在り方の見直し、普通建設事業の選択と集中、自主財源の確保といった重点対策を掲げ、全庁を挙げて取組を進めてまいります。

市の財政は破綻してしまうのですか?

財政が破綻してしまうわけではありません。前述したとおり、法律に基づく健全化判断比率や資金不足比率の指標は本市は健全であり、直ちに財政健全化団体や財政再生団体になるという状況にはありません。年度間の財源調整機能を果たし、市財政の健全な運営に資するために設置している財政調整基金の残高が枯渇寸前の事態となったことから、この事態からいち早く脱却し危機を回避し、将来にわたり持続可能な行財制運営を確立するため、市が主体的に対策に取り組むものです。

市単独事業の見直し(事務事業の廃止、休止、縮小等)について、具体的に決まっているのですか?

現時点では、決まっておりません。具体的な方針や取組、数値目標等については、令和7年度早々に市長を本部長とする緊急財政対策本部や職員で組織する緊急財政対策プロジェクトチームを設置し、その中で検討してまいります。

公共料金等が高くなることがあるのですか?

公共施設の維持管理、運営や各種証明発行等の行政サービスを提供するためには、施設の管理経費や人件費等がかかり、近年の物価高騰等によりそのコストは増大しています。これらの経費は行政サービスを利用する人が負担する使用料や手数料等と市民の皆様の税金で賄っています。今回の対策では、自主財源の確保において、行政サービスを利用する人としない人との負担の公平性の確保の観点から、受益者の方には応分の対価を負担していただくよう、使用料や手数料等の見直しについて検討したいと考えています。

この記事に関するお問い合わせ先

財務部 財政課
電話番号:042-973-2111(代表) ファクス番号:042-974-0044
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