絹本着色仏涅槃図 (県指定)
大字中山(なかやま)の真言宗智観寺(ちかんじ)の所有で、埼玉県立歴史と民俗の博物館に寄託中です。画面は縦86.5センチメートル、横42.8センチメートルとたいへん小ぶりで縦長です。
沙羅園(さらえん)の双樹(そうじゅ)に囲まれた宝台の上に横たわって涅槃に入る釈尊の周囲に、悲嘆する菩薩、声聞(しょうもん)がおり、下方には慟哭する動物たちが見られます。部分的に補筆、補彩、補絹なども見られますが、保存状態は良好です。
本図の特徴は、忉利天(とうりてん)から駆けつける摩耶夫人(まやぶにん)を描かず、釈尊が腕枕をして横臥する点や、釈尊の顔立ち、螺髪(らほつ)、肉髻(にくけい)の表現など、中国宋代の新風によったものと思われます。
全体に優美さを抑え、色彩にあっても虚空を黒っぽく表現するなど鎌倉時代の特色を示しています。
箱書きによると、一九世住職の亮音(りょうおん。元文3年(1738)没)が大和国の法隆寺で修業したときに受領したものとのことです。
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更新日:2023年03月02日