見光寺(けんこうじ)宝篋印塔 (ほうきょういんとう)(市指定)
大字岩沢(いわさわ)の曹洞宗見光寺宝篋印塔(けんこうじほうきょういんとう)は、高さ132センチメートルを測る安山岩製の石塔です。下から反花座(かえりばなざ)・基礎(きそ)・塔身(とうしん)・笠(かさ)・相輪(そうりん)の順で積み上げられ、笠部の隅飾突起が一部欠ける以外は完全な形で遺っています。塔身部四面に金剛界四仏の種子が刻まれていますが、他に銘文は見当たらないため、造塔者名・造塔の趣旨・造塔年月日は不明です。ただ、その大きさと形状が埼玉県内の中世宝篋印塔の中でも14世紀後半のものに類似することから、造塔の年代は14世紀後半と推測されます。
見光寺には旧地蔵堂の本尊と伝えられる木造地蔵菩薩坐像があります。見光寺宝篋印塔と同じく南北朝時代から室町時代初期のものであり、この時期に見光寺もしくは地蔵堂を中心とした宗教活動が活発なものであったことがうかがわれます。こうした宗教活動は、加治氏(高麗郡加治郷に住んだとされる鎌倉幕府の御家人)の子孫が関わっていた可能性が考えられます。
このように見光寺宝篋印塔は、中世宝篋印塔の遺例として貴重なだけでなく、14世紀後半の宗教活動の実態を考える上でも重要です。
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更新日:2023年03月16日