木造薬師如来坐像 (市指定)

更新日:2023年03月02日

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木造薬師如来坐像(もくぞうやくしにょらいざぞう)は、像高53.4センチメートル、檜材割矧(わりはぎ)造で、かつて大字中山(なかやま)の真言宗智観寺(ちかんじ)境内にあった薬師堂の旧仏と伝えられています。

彫眼(ちょうがん)、肉身部は漆箔(しっぱく)、衲衣部(のうえぶ)は漆地に古色仕上げをした比較的小さな像ですが、藤原様を色濃く残しながら、鎌倉新様彫刻の写実的な造形表現を見せる作品です。

大きな肉髻(にっけい)、小粒な螺髪(らほつ)、穏やかな面相、ゆるやかな衣文線などは、前代の藤原様式をとどめています。その反面、厳しさを増した面貌、背筋をすっきり伸ばした体駆、柔らかにたたみ込まれた陰影の強い衣文線の造形等には、新しい時代様式がうかがえます。

構造も、頭体部の大半を一材から木取りする方法は古風ですが、各部材の矧合せや、内刳(うちぐり)も丁寧に仕上げたあたりは時代の新しさを感じさせます。

伝統的造像技法を受けつぐ旧派系の仏師が、新しい鎌倉彫刻の影響を受けながら作り上げたものといえそうです。

木造薬師如来坐像

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