木造宝冠釈迦如来坐像 (市指定)
木造宝冠釈迦如来坐像(もくぞうほうかんしゃかにょらいざぞう)は、檜材の寄木造で像高は46.5センチメートルです。元は大字中藤下郷(なかとうしもごう)旧円通寺の本尊であり、臨済宗金錫寺では聖観音として伝えられています。
玉眼(ぎょくがん)で、両肩を衲衣(のうえ)で覆っています。肉身部は白土地に漆箔(しっぱく)、衲衣部は朱彩を施しています。
頭部の高い髻、太い鼻梁(びりょう)、衣文の表現や宝冠などにみるにぎやかな装飾趣味は、宋風彫刻の影響といわれますが、この像のさらに大きな特色は、法衣を台座下まで垂らす法衣垂下(ほうえすいか)という様式です。
建長期(13世紀中頃)以後、鎌倉を中心とする関東彫刻界の新しい動きから生まれた法衣垂下像は、当時の禅宗の地方普及の波に乗って、関東の一部に流行した特色ある彫刻です。しかも14世紀の後半から15世紀頃までに、鎌倉の宅間ヶ谷の宅磨派系仏師の手になるものとされ、中世の鎌倉と飯能地方の交流を物語る貴重な仏像といえます。

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更新日:2023年03月02日