木造阿弥陀如来(あみだにょらい)及び両脇侍像(りょうわきじぞう) 付胎内納入品(市指定)
本像は、鎌倉時代に造立が流行した来迎形阿弥陀三尊立像で檜材の寄木造である。中尊阿弥陀如来は像高79.0センチメートル、左脇侍観音菩薩は像高48.0センチメートル、右脇侍勢至菩薩は像高49.5センチメートルである。原市場棒ヶ谷戸に所在した旧西光寺阿弥陀堂の本尊であったが、同寺が廃寺となったため現在は本寺である長光寺に安置されている。
写実的な面貌描写、複雑で装飾的な着衣の衣文表現等は、鎌倉時代中期頃から盛んとなった宋風彫刻の特徴を表すもので、幾分形式化の傾向が目立つところから、製作時期は、鎌倉時代末期から南北朝時代、14世紀に入ってからと推測される。全体に形姿整い、彫技が鮮やかで、みごとなできばえを示しており、来迎形阿弥陀三尊像の秀作の一つに挙げられる。三尊に共通してみられる、丸顔でどこか童子風の穏やかな面貌表現や図式的で繊細優美な衣褶表現は、当代の主流を占めていた慶派系彫刻のものではなく、都風の和様の気配を窺わせるところから、この時期に鎌倉造仏界に進出著しかった円派か善派系の熟練仏師の手によるものと推定される。
中尊の像内には、「無量山西光禅寺本尊再興勧進化偞」の納入文書が残され、元禄7年(1694)2月に、曲竹・古久住(久須美)・中藤等近隣諸村に寄付を募り、江戸本石町の仏師、後七條流院長谷川法橋慶順に依頼し、修理を行ったことが記されており、修理の履歴が明らかな点も貴重である。
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更新日:2023年03月06日