木造不動明王(ふどうみょうおう)立像(市指定・高山不動尊)
本像は檜材の割矧造で、彫眼、像表面の彩色は大半が剥落するが、一部に胡粉地の残存が認められ、かつては彩色像であったことがうかがえる。構造は頭体幹部は一材から木取りし、体部は内刳、頭部は三道下で割首とする。像の背面部材を失っており、両腕及び左足先は江戸時代の後補のものとなっている。像高は97.7センチメートル、頂蓮を戴き、髪は前頭部巻髪、後頭部は総髪。忿怒相。眉間に皺を寄せ、唇を強く引き結び上下に牙を表す。上半身に条帛を着け、下半身に裙、腰布をまとい、正面蝶結びの腰紐を大きく表す。
図像的には、比叡山延暦寺飯室不動堂本尊の安然様不動明王に共通するところが多く、天台系の不動明王のかたちに倣う像とみなされる。地味ながら端正典雅な佇まいをみせる和様の像で、頭体部のバランスも良く、身のこなしの自然さや簡潔優美な裙の衣文といった彫刻表現は見事である。
様式・構造の特徴から鎌倉時代初期は降らない頃の製作と推定され、県内でも数少ない不動明王像の古例として、貴重な存在といえる。

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更新日:2023年03月06日